Salesforceによる工程管理システムの構築事例
東京海上日動メディカルサービス株式会社
情報システム部
次長 加藤基広様
嶋村剛様
工程管理システムの構築にSalesforce(旧Force.com)を活用。
事業内容
医療・健康増進をサポートする「トータルヘルスケアコンサルティング企業」。
東京海上日動メディカルサービス(以下TMS)の事業内容は?
当社は「トータルヘルスケアコンサルティング企業」として、優秀な医師等の医療専門家を擁し、医療・健康分野で事業展開しています。
その中で情報システム部は、システム開発・運用を通じて、事業計画の完遂と、健全かつ適切な事業運営に寄与するとともに、システムの全体最適を実現することをミッションとしています。
ビジネスにITが不可欠と言われるようになって久しいですが、その一方で、IT投資の失敗が大きな経営問題に発展する事例も多々見られるようになりました。このため、東京海上グループでは、ITガバナンスの強化に取り組んでいます。情報システム部には、事業戦略を支えるビジネスプロセスを構築するためのIT戦略を定め、それを実現していく役割が求められています。
システム概要
主力事業のひとつである「医療全般の審査・分析」で利用され、意見書作成・医療費分析などの工程管理を行う。
システムの概要は?
主力事業の「医療全般の審査・分析」では、各専門医による医療内容の審査ならびに意見書の作成、専門スタッフによる医療費分析を行っています。 保険会社からの要請に基づき、医療記録を検討し、医療関係の問題について公正・専門の立場で各専門医が知識を提供するサービスです。
「MEAS(Medical Examination Analysis and Support)システム」は、この業務の工程管理を行っています。
導入前の課題
「社内留学」で業務プロセスを検証、業務プロセスの複雑さなどの課題が浮上。
既存システムの課題は?
既存システムは、かなり昔にMS Accessで内製したもので、仕様書が整備されておらずブラックボックス化していました。また、内部統制強化の面からも、よりセキュアなシステムに改善することが求められていました。
こうした要望を踏まえ、まずは「社内留学」という形で、情報システム部員の嶋村が現場に赴いて実際の業務を経験しました。多くの場合、ユーザーは現行の業務プロセスを前提とした要件定義を行いますが、 既存の業務プロセスをそのままシステム化することが最善とは限りません。「社内留学」は初めての試みでしたが、客観的に業務プロセスを見直す上で、非常に有効でした。
「社内留学」を踏まえ、現行の業務プロセスをフロー図にしてみると、いくつかの改善ポイントが浮かび上がってきました。特に、既存システムは作業結果を入力・蓄積する機能しかなく、文書ファイルは別途ファイルサーバーに保存したり、各種の照会は別途メールシステムで送受信する等、複数のITツールを使い分ける必要があったため、業務プロセスが複雑になっている点が課題となっていました。
導入理由
低コスト、スピーディ開発、強固なセキュリティ基盤などを評価。
Salesforce(旧Force.com)を選んだ理由は?
東京海上グループには、すでにSalesforce(旧Force.com)を積極的に活用している会社もあり、システム構築事例もいくつかありました。すでに導入したグループ会社へヒアリングを行いながら、様々な検討を重ねた結果、 Salesforce(旧Force.com)はMEASシステムに適していると判断しました。サーバー不要によるコストダウン、スピーディな開発など、クラウド開発のメリットに加え、以下のことが可能になるためです。
- 承認ワークフローや自動メール発信など、標準機能によって簡単に工程管理に必要な機能を追加でき、従来は手作業で行っていたメール送信や承認業務を低コストでシステム化できる。
- ユーザー単位でIPアドレス制限をかけられる、パスワードポリシーを当社基準に合わせることができる、データへのアクセス制限をきめ細かく設定できる、といったセキュリティ機能が充実している、など。
ベンダー選定理由
改善や機能拡張を前提に、「長く付き合えるパートナー」としてITSVを選ぶ。
開発ベンダーとして、インフォテック・サービス(以下ITSV)を選んだ理由は?
今回のシステムについては、完成後もビジネス環境の変化による改善や機能拡張を継続的に続けていくことを最初から想定していました。そのため、ベンダーには、スキルはもちろん、パートナーとして長くお付き合いできることを重視しました。 具体的には、以下の理由からITSVが最適だと判断しました。
- 東京海上グループのシステム構築・保守・メンテナンスを40年以上手がけ、業務に対する造詣が深い。
- 既に東京海上グループ内の別会社でSalesforce(旧Force.com)導入を支援した経験があり、今後も、Salesforce(旧Force.com)に積極的に取り組むことを全社的に打ち出している。
- 当社同様、中小規模の企業を数多く顧客に持ち、中小規模の企業のビジネス環境・慣習へ理解が深い。
- 大手ベンダーに比べて、小回りの利いた迅速な対応が期待できる。 など
導入効果
導入から数カ月で、「板前の包丁」として認められる。
導入効果は?
このシステムは、ユーザーにとっては、「板前にとっての包丁」のように日常的に使うものです。それを大きく変えることになるわけですから、「導入直後は毎日呼び出されるのではないか」「問い合わせが矢のように来るのではないか」と覚悟していましたが、杞憂でしたね。
導入から1~2週間で1,000件近くのデータが入力されましたが、問い合わせはほとんどありませんでした。MEASシステムは無事に「包丁」として認められたと思います。
今後のビジョン
Salesforce(旧Force.com)に限らず、システム全般の相談役になることを期待。
ITSVへの評価・今後期待することは?
今回、できる限り標準機能を使って開発しましたが、承認プロセスでどうしてもカスタマイズが必要となりました。ITSVにお願いすると、当社の予想を上回るスピードで実現していただきました。 これに限らず、プロジェクト全般において、スピーディーに対応していただいたと思っています。相談しやすいことも評価しています。今後も機能改善を継続的に行っていきますが、引き続き迅速な対応や相談役としての役割を期待しています。
ゆくゆくはSalesforce(旧Force.com)に限らず、システム全般について様々な相談をしていきたいと考えています。IT業界は技術の変化が激しく、常にバズワードが飛び交っていますが、独立系ベンダーとして、当社の立場に立った多彩で柔軟な提案に期待しています。
インフォテック・サービス株式会社 開発SEのコメント
開発支援部 岩崎祥行
MEASの構築では、可能な限り標準カスタマイズで対応することに注力しました。開発者としては、コーディング開発で対応したくなる時もありますが、標準カスタマイズで対応することは、 無駄な開発費用を抑え、バグが混入するリスクが無いため高品質であり、保守性も高いためです。
しかし、中にはコーディング開発を必要とする必須の要件も出てきます。その場合でも、可能な限り標準コンポーネントを利用することや、予め作成した開発標準に沿ってコーディングすることで、品質、保守性を高めることに注力しました。
今後も、標準カスタマイズとコーディング開発をバランスよく組み合わせ、お客様にとって最適なシステムを提供できればと思います。
開発支援部 元屋敷政明
MEASシステムを開発する上で私が特に注意した点は、お客様の要望をより深く聞き出すという点です。その結果によって、システムを導入した後の効果に大きな差が生じると考えています。
本プロジェクトでは始めに大体の仕様をヒアリングし、その時点で一旦プロトタイプを作成、そこから週一回定例会を設け、細かい要望や現状の問題点を密に話し合い、 次回打ち合わせまでにそこで挙がった要望をプロトタイプに反映させ確認するというサイクルを繰り返しました。
Salesforceの特徴の一つである「開発スピード」を活かすことによって、イメージだけではなく実際に目で見て何度も何度も確認することができた為、より深い要望までもれなく引き出すことができたと感じています。 プロジェクトを振り返ると常にお客様の隣にいて開発をしていたので、MEASシステムはお客様と我々SEが一つのチームとなり作り上げたシステムだと考えています。
会社名 | 東京海上日動メディカルサービス株式会社 (Tokio Marine & Nichido Medical Service Co.,Ltd.略称TMS) |
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住所 | 〒100-0004 東京都千代田区大手町2丁目6番2号 日本ビル |
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